作者のつぶやき Vol.4

H330B計算機システムについて


航空自衛隊の防空システム(自動警戒管制組織)であるBADGE(Base Air Defense Ground Environment)システムを構成するシステムの一つで、H3324計算機を中心に各種周辺機器で構成されています。
BADGE(バッジ)システムは初代をBADGE・2代目を新BADGE・三代目をJADGE(ジャッジ)と呼び三回更新しています。
昭和58年当時は初代BADGEから新BADGEに移行が始まり、新システム教育・運用試験を経験しました。
最初にDC(防空指令所:Direction Center)に入ったときは、SF映画の世界に迷い込んだ気分で興奮しましたね。
私がコンピューターの基礎を学んだ時期です。


H3324計算機

コンソールと本体 【マウスを移動して表示】

H330B計算機システムの中心になるコンピューターで、メインメモリー 24bit:コアメモリー 64Mの性能でこれだけのシステムを動かしていたと思うと驚きですね。
使用言語はアセンブラでメモリー容量を気にしてプログラムを組んでいました。今では考えられないですね。
このシステムにはキーボードは付いておらず、入力は紙カード・紙テープ・テンキー・磁気テープそれにセンススイッチ(SW)と呼ばれる、ON・OFFで0と1を入力するトグルスイッチが付いています。
出力装置は磁気テープ・紙テープ・ラインプリンター・タイプライター(謎の円盤UFOのオープニングで文字を打っている装置と同じ)でした。(Off lineでX-Yプロッターを装備)
ディスプレーはCRTではなく、電光式の数字が表示されるパネルです。
当時は三交代の24時間勤務で、スピーカーから「サイトダウン インオペ」(システム障害発生 至急作戦室までの意味)の放送が流れるとトイレ中でも走りだしました。



カードリーダー(紙カード読取り装置)

入力装置として使っていました。プログラムを入力するのに一枚づづ穿孔機で穴をあけて作ります。順番がメチャクチャになったり大変でした。
今では考えられないですよね。想像できますか?


ライン・プリンター

名称の通り、一行づつ印字(打刻)します。出力装置として使用。 紙送りと印字する音がかなり大きくアルファベットと記号・数字しか印字できませんでした。プログラムの練習で記号や数字を使ってモナリザなどを描きましたよ。


磁気テープ装置

外部記憶装置(入出力)として使用。
一番使用頻度の多い装置で、レーダー情報の記録や各種プログラムの保存に使用していました。
テープを早く取り替える練習をしました。人差し指でテープを引っかけて...



磁気ドラム装置

外部記憶(補助記憶)装置として使用。現在のハードディスクの代わりです。
ハードディスクとは違い、磁気を帯びたドラム(筒状)に記憶します。時代を感じますね。
デュアルシステムを採用していたのでこの磁気ドラムにデータを記憶し、システムⅠからシステムⅡに切り換える時に使用していました。


カラーデータ装置(カラーオブジェクター)

カラーデータ装置【マウスを移動して表示】

出力装置として使用。大型スクリーン用のプロジェクター(投影機)です。
レーダーで捉えた航跡情報をH3324計算機で処理し、画像情報として出力します。
フィルムに画像情報を焼き付けて投影するので映画と一緒です。


コンソール(情報表示盤)

IDコンソールとWADコンソール【マウス移動して表示】

情報表示盤で航空機の針路や速度、戦闘機・地対空ミサイル(SAM)などの情報を表示し各種データの入力もここから行います。
一枚目の写真がID(航空機識別担当用)コンソール、二枚目がWAD(兵器割当担当用)コンソールです。(注:記憶が正しければ)
他にもSD(先任司令官用)コンソールやIC(要撃管制用)コンソール等があります。
オペレーション・ルーム(作戦室)の大型スクリーンの前には、このコンソールが数十台階段状に並んでいました。


コンピューター室

コンピューター室の様子がわかると思います。
この写真は第5術科学校第3分校のコンピューター室のもので当校は鳥取県の美保基地にありましたが、今は愛知県の小牧基地にある第5術科学校本校に移動になっています。
私も、この学校の初級計算機員(EDP)課程でコンピューターの基礎を学びました。担当教官には同期の仲間と大騒ぎをして大変ご迷惑をおかけしたのに、食事を御馳走になったりして勉強以外でも大変お世話になりました。
その後、新バッチの転換課程では小牧基地の本校にもお世話になりました。皆さんお元気ですか?



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